主人公と同じ気持ちになれた映画は、これが初めてかもしれない

  • 2014.04.25 Friday
  • 23:46
JUGEMテーマ:映画





「ダブリンの時計職人」

幸い、我輩はかつて失業中、ホームレスになることはなかったが、長らくドキュメンタリー映画を製作してきたダラ・バーン監督は、誰もが失業する、誰もがホームレスになる可能性があるということw、リーマンブショックの際に痛感したという。
EUに加盟し、アメリカとの関係が深いアイルランドが巨大な金融街を作り、貧困から脱したと思った時の衝撃は凄まじかったらしい。
一時期、ダブリン市内に多くの野良”馬”がいた。
金融で盛り上がってた頃、成金が多く乗馬に目覚めたそうだが、リーマンショックで家庭崩壊一家離散、飼ってた馬がそのまま捨てられ、野良サラブレッドが街中をウロウロしてた。
馬がホームレスになるという、そんな時代だった。

多くのアイルランド人らしく、長らく英国で様々な職に就いてた主人公のフレッド。
和訳タイトルに”時計職人”とあるが、そのようなキャリアを積んだという話があまり出てこない。
ただ、時計修理に必要な工具一式をもち、どんな時計でも修理できる腕前を持っている。
結婚していない。
結婚する予定があったが、フィアンセに逃げられた。
年齢からすると、我輩より一回り上…という設定か。
不況で英国にて失職し、車に(アイルランドマヅダが車体を提供、なかなか良いスポンサーだw)生活道具一式を詰め込んで、港近くの駐車場にて寝起きする。
バーン監督はこの舞台となる駐車場を探すのに苦労したとのこと。
確かに…この無機質な、海に向かった何とも言えない茫漠とした空間、そう簡単に見つかるものではなかったろう。
失業保険を受け取ろうとしたが、ホームレスであるということで支給拒否。
そんな中で、父親から勘当され、同じ駐車場で偶然、カハルという別のホームレスと友人となる。



…いつもなら、ツッコミをリストアップしたいところなのだが…
この映画、生まれて初めて、主人公と同じ気持ちになった…とてもつっこめるものではない。






駐車場でコーヒーを飲むフレッドの姿が、3年前の我輩にそっくりだったのだ……。





そして、エンディングに至るまでもが、我輩そのものだったんだ……。





幸いにして、我輩はフレッドと違い、ホームレスにはならなかった。
幸いにして、我輩はフレッドと違い、シェルターのお世話になることはなかった。
幸いにして、我輩はフレッドと違い、友人を亡くすようなことはなかった。
幸いにして、我輩はフレッドと違い、新しい分野で働いている。
不幸にして、我輩はフレッドと違い、失業中に素晴らしい女性と会うことはなかった…まあ、それはどうでもよろしい。w





我輩は以前、日記の中で、ハリウッド映画が大嫌いだと公言したことがある。
コナミでそれを言った時、小島組()に属する馬鹿から、無茶苦茶批難されたことがあるが、人生を振り返ることができない人間は、そのまま地獄へと突っ走るんだろうな。
この映画には、一切のハリウッド的な空気は存在しない。
エンディングも、頭の軽いそれとは無縁のものが用意されている。
人生において”富””地位”だけで人間の全てが計れると思っている人は、おそらくこの映画には一切の共感を抱くことはない。

だからなのかな?
日本でわずか数軒の映画館でしかやってないのは?
それほど、日本人は、自らがどん底に陥ることを予測できないくらいに、想像力がなくなってしまったのだろうな。




原題は”PARKED”。
和訳すれば、単に「駐車する」の過去形、あるいは過去分詞。
流石にこれをそのままにしても、イメージがわかない。
「ダブリンの時計職人」でよかったかもしれない。



でも、原題に秘められた本当の意味を、観終わった直後に見つけた時、ふと、涙もろくなった我輩に気付いた。
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