ますます再来年、行かねば…

  • 2011.12.18 Sunday
  • 21:30
 JUGEMテーマ:読書




休日出勤の中、仕事を終わらせることができなかった原因を作った本。
昼休み、本屋を覗いたら、これがあって、思わず買っちゃったよ。



大学時代から、アイルランドの独立史、とりわけ吟遊詩人(バード)の伝統を引き継ぐ、
アイルランド民謡と結びついた抵抗歌(Rebel Song)について、研究をしている。
その中で、数年前から一つの仮説を立てている:
アイルランドにおけるRebel Songは、同国において18〜19世紀にかけて大きな断絶があり、20世紀初頭になって、伝統を直接受けない新しいRebel Songが発生したのではないか、というものだ。

現代、アイルランドは独立国として存在するが、それまで600年以上、英国の支配を受けていた。北アイルランドは、いまだに支配下にあり、EUという体制の欺瞞を表す一つとなっている。
1960年代、同地での「血の日曜日事件」「ハンガーストライク」などは、心ある人であればだれもが知っている事件である。
我輩も当然、これらの悲劇を歌ったRebel Songを集め、研究しているが、次第にある種の違和感を抱くようになった。
どうも、20世紀以降に誕生したRebel Songと、19世紀、いやそれよりもはるか以前のRebel Songと、共通項が少なくなっているような気がしてきた。

古いRebel Songは、古民謡の旋律を繰り返し使い、悪く言えば単調で極めて「土臭い」ものがあるが、逆にその技巧を有しない直情的な訴えかけに心打たれる。
仮に20世紀以降のRebel Songを新しいものだとすれば、そのメロディは時代が現代に近づくほど、国際的に受け入れやすい、いや、わかりやすいものとなったが、太古からの吟遊詩人が完成させた民族に根差した「臭さ」がほとんどなくなっている。

ある程度の継承があってもよいはずだ。
だが、おかしなたとえだが、今まで歌舞伎が娯楽の中心だったのが、
1901年を過ぎて、唐突にスピルバーグのSF映画に、間を開くことなくシフトした、
そんな感じなのだ。



1916年のイースター蜂起で、ダブリンのGPO前で独立宣言を述べた、
IRAの司令官にして、臨時大統領のポードリック・ピーリッシュ(パトリック・ピアース)は、その宣言の中で、

     アイルランドは過去300年の間に6回の抵抗を…

という一節が登場する。
この6回の抵抗について、諸説があるが、我輩は主流となっている解釈を採用する。すなわち、

 1641年の反乱
 二王の戦い  (1689〜91年)
 1798年の反乱
 ロバート・エメットの反乱 (1803年)
 青年アイルランド党の反乱 (1848年)
 フィニアン蜂起      (1867年)

この中の「フィニアン蜂起」は「蜂起」となっているが、実際は事前発覚され、潰されたものであるが、この「フィニアン」の存在が気になる。
青年アイルランド党の反乱が鎮圧された後、主導権を握った穏健派「アイルランド小作農組合」による政治活動に満足できず、急進的な「共和主義=英王国からの独立」を標ぼうする秘密結社が登場したのは、1858年。

ふと、その年代を見つけた時、南北戦争の開戦年を思い出した。

1861年。



不思議な共通点が多い。
時期的なタイミング。
南部連盟の「独立」に関しての考えと、フィニアンの共通点。
そして南軍の敗北と、フィニアンが弾圧された後の、「死」にも似た沈黙。



なんとなく…いや、本当に、「なんとなく」、なので、「仮説」というには、危ういのは自覚している。
ただ、Rebel Songの断絶の背景に、南北戦争があるのでは、と思ってしまったのだ。
この本を読みつつ、その思いは膨らんでいる。



「ゲティスバーグの戦い」が、南北戦争を決したと言われてるが、この本を読むと、必ずしもそうではないことに気付いた。
戦いで南軍は負けたのではない。
戦いに勝つことで、全世界に対して、「南部連盟」という国が独立した一国であることを証明する機会が永久に失われたことに対する、外交での敗北であったのだ。

そして数年後、アイルランドでも、「共和国としての独立」を目指す夢が潰された。



アメリカの神話としての、「ゲティスバーグ」がある。
我輩として、古きRebel Songの墓標があるのではないか、そう考える。



再来年、帰国して、ちょっと調べてみたいな。

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